個性が加速していく オモハラファッション & ヘアスタイル 黎明期
1970年代以降、90年代までに表参道・原宿に起こったファッションの変化は、単純な変化という言葉には収まらない。同時多発的に起こるファッションカルチャー。重なりつつ同時に別々のファッションジャンルが混在するという感じだろうか。本稿の主題である「美容室」とは少し逸れるが、表参道・原宿の街の美容室の進化と紐付いて語るべき時代の流れなので、大枠だけでもそれぞれ書き記しておきたい。
1975年〜1976年、表参道・青山にはコムデギャルソン、ヨウジヤマモト、イッセイミヤケなど「DCブランドブーム」を巻き起こしたブランド店舗が同時期に出店し、「高感度な街」としてのブランドイメージを確立した。

DCブランドブームの火付け役の1人とされる、ファッションデザイナー・菊池武夫氏は1970年に「BIGI」1975年「MEN’S BIGI」を設立し、1984年に「TAKEO KIKUCHI」を立ち上げた。「MEN'S BIGI」1981年のコレクションを着用したカット 撮影:操上和美 (OMOHARAREAL INTERVIEW TAKEO KIKUCHIクリエイティブディレクター 菊池武夫 より)
1978年に開業したラフォーレ原宿は、カジュアル・モード・ストリートを融合させた先進的な商業施設として影響力を発揮し、若者文化の中心地として原宿の立ち位置をさらに強固にする。

1980年・開業2年目のラフォーレ原宿 提供者:赤影(オモハラみんなのフォトアルバム No.042 より)
1976年には明治通り沿い、現在のBEAMS 原宿の場所にBEAMS(ビームス)が創業。1989年には、UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)が創業と、1980年代にかけてはキャットストリート周辺にはセレクトショップが続々と誕生し、90年代前半のアメカジをベースとする「渋カジブーム」を牽引した。

渋カジブームの頃の「BEAMS」前で撮られた写真。紺ブレに身を包むスタッフたちの姿が収められている。(OMOHARAREAL INTERVIEW 『BEAMS』代表取締役社長・設楽洋 より 2022年)
バブル崩壊後(1993年頃)は、不景気を取り巻く社会状況もあってか「高級」「ブランド」から距離を置き、反ブランド的価値観が若者に生まれた。ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)に代表される、パンクスタイルを踏襲した新しいストリートファッションや、80年代のアメカジスタイルの影響から古着もブームとなる。極めつけには、原宿が生んだ一大ストリートファッションムーブメント、裏原ブームが1990年代初頭に出現、街を席巻する。
OMOHARAREAL REVIEW 「原宿を読む壁面雑誌」より
このように、かつては画一的だったファッションの時代から、個性を際立たせる時代に突入していった。当然、ヘアスタイルもファッションの一部としてその個性を引き立てる役割を果たしていたのは言うまでもない。
そんな街に集まる人たちの個性を収め、編集する原宿発のストリートスナップ誌が誕生する。1985年海外スナップの草分け的スナップ誌『STREET』を創刊した、青木正一氏による『FRUiTS』が1996年、満を時して世に放たれた。
まさに機は熟した。青木氏はOMOHARAREALの過去のインタビューで「東京に蒔いたファッションの種が育って"実"をつけた…そんな想いで『FRUiTS』って名前にした」(中略)と『FRUiTS』創刊の思いを語っている。

OMOHARAREAL INTERVIEW 『STREET』『FRUiTS』『TUNE』創刊者・青木正一 より(2019年)
同時多発的にスタイルが生まれ、加速していくファッションの街で、青木氏が切り取ったファッション&ヘアスタイルはファッション業界のみならず、当時の美容業界にも刺激をもたらしたはずだ。目まぐるしく変わるファッショントレンド、一方で同じように、美容業界もメディアの追い風を受け新たなフェーズに突入していく。
これまでのファッションの一部としての認識から、ヘアスタイルが主役となりスポットを浴び、それを手がける美容師が世に躍り出る時代。さらには美容師がファッションアイコンになるなど、劇的な変化を迎えることとなる。
Vol.1まとめ
Vol.1では歴史的な事象と編集部の主観を交え、オモハラの「美容室」を考察。 実際にオモハラエリアに存在する美容室の数から、“リトルアメリカ”と呼ばれた文化的な土壌、歴史的背景に着目した。
そして1970年から90年代にかけ、さまざまなファッションスタイルが登場し画一的なものから個性が際立つようになった。1996年には原宿のストリートスナップ誌が創刊。“原宿のファッション”が発信力を持ち、拡散されるまでに成熟していく。その一連の流れに追随するようにヘアスタイルもファッションの一部として進化し、オモハラの美容室に影響を与えていったのではないか。というのが編集部の見立てだ。
Vol.1に続く、Vol.2では“美容室”から“美容師”へ注目が集まり、裏方から表舞台に登場した時代にフォーカスする。
カリスマ美容師ブームや、“始祖にして最強インフルエンサー”の存在、そしてヘア& ファッションマガジン「CHOKiCHOKi」による“おしゃれキング”が与えたインパクトなど、どのように美容師がトレンドセッターとしての地位を確立し、オモハラの街で存在感を強めていったのか?を考えてみよう。
企画・構成:OMOHARAREAL編集部
画像撮影協力(Page 1画像1枚目):JENO by apish
Text: Tomohisa Mochizuki
参考サイト:
渋谷区営業施設リスト
港区オープンデータカタログサイト美容所一覧

























