半世紀後の未来から”現在”を逆照射する
表参道・GYRE GALLERYにて、キュレーター・飯田高誉(スクールデレック芸術社会学研究所所長)の企画による展覧会「SPECTRUM 2076 AD ── 来たる世界の意識体」が、2026年5月22日(金)〜7月12日(日)まで開催される。
本展は、気候変動やテクノロジーの特異点を経た「50年後の未来(2076年)」という視座から、現代という時間を遡及的に審問(Retrospective Inquiry)する思想的実験場。池田謙、森万里子、山田晋也、名和晃平、牧田愛、草野絵美、熊谷亜莉沙、7名の作家を迎え、物理的な光の分布としてのスペクトラムのみならず、ジャック・デリダが提唱した「憑存在(ハントロジー)」における亡霊(Specter)の多義性を探求する。
絶え間ない大洪水に洗われ、人間不在の冷徹な物質世界へと変貌した2076年。その沈黙の中で、未来の意識体はどのような「美」を見出すのか。本展では、アートを通じて、現在という地点を未来からの遡及的な光で照らし出す。
即興電子音楽家 / 作曲家の池田謙による"身体感覚を攪乱する音響"をはじめ、鑑賞者は各作家が提示する重層的な視覚体験を通り抜けることで、自らが「未来から現在へと送り込まれた亡霊(スペクター)」であることを自覚する実存的な転移を経験する。
森万里子の"垂直なクリスタル"が宇宙的な全一性への「開かれた上昇」を提示し、山田晋也は、重層的な可視と不可視が交錯する絵画のなかに亡霊の気配を宿す。名和晃平は、物質を波動へと反転させて実在の皮膜を「連続体」へと解体し、牧田愛は、械的秩序を内面化した生体システムとして"ポスト・ヒューマン的な身体性"を描写する。
草野絵美は、AIによって「存在し得なかった過去」を生成することで現実と虚構の境界を無効とし、熊谷亜莉沙は、沈底する文明の記憶を逆照射することで、現代という刹那に形而上学的な鎮魂を捧げる——
絶えず“今”が更新され続ける表参道・原宿の街で、未来の視点から現在を逆照射する「SPECTRUM 2076 AD」。未来という名の亡霊が、私たちの立っている時代の輪郭を静かに、そして鮮明に浮かび上がらせてくれるはず。
■SPECTRUM 2076 AD ── 来たる世界の意識体
会期:2026年5月22日(金)〜7月12日(日)
開催場所:GYRE GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
電話番号:0570-05-6990(11:00-18:00)
開廊時間:11:00-20:00
休廊日:会期中なし
主催:GYRE / スクールデレック芸術社会学研究所
企画:飯田高誉(スクールデレック芸術社会学研究所 所長)
PRディレクション:HiRAO INC
■参加アーティスト:
池田謙、森万里子、山田晋也、名和晃平、牧田愛、草野絵美、熊谷亜莉沙
>>編集部推薦!ハシゴNavi
未来という視点から"現在"を逆照射する「SPECTRUM 2076 AD」とあわせてチェックしたいのが、ワタリウム美術館で開催中の「ジャッド|マーファ展」。ドナルド・ジャッドがテキサス州・マーファで展開した“恒久展示”という思想を通して、時代を超えて残り続ける普遍的な「空間」と「物質」という哲学に触れられます。会期は好評につき7月12日(日)まで延長。編集部による「ART REVIEW」もぜひチェックを。
※敬称略
Text:Rumi Hasegawa
INFORMATION
表参道・GYRE GALLERYで 展覧会「SPECTRUM 2076 AD ── 来たる世界の意識体」が開催
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
- 電話
- 0570-05-6990
- 営業時間
- 11:00-20:00
- 定休日
- 会期中なし
- 開催期間
- 2026年5月22日(金)〜7月12日(日)
- 長谷川瑠美
外部ライター

































