4人目はyummy booksのオーナー・山本哲也さんセレクトBOOK
食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋、そして読書の秋。いつも行くカフェのスタッフさん、街の書店の店長さん、レストランのシェフ…この街で働く人たちが選ぶ「おすすめの1冊」を紹介します。
今回は、yummy booksのオーナー・山本哲也さんに選んでいただきました!
山本哲也(やまもと てつや)/yummybooks店主、フリーランス書店員、Book Shop Cordinator、本と出会える場所を創る、本を贈るお手伝い。可愛いもの好き、趣味はギターと猫吸い、甘いもの好き。
山本さんおすすめの1冊は…
『気になる部分』 著:岸本佐知子 (白水社)
その理由とは?
「エッセイはほぼ読まない私が、電車で笑いをこらえるくらいに楽しめました!
この本は、ミルハウザー、アーヴィング、リディア・デイヴィス、ニコルソン・ベイカーなど現代アメリカ小説の名翻訳家として知られる岸本佐知子さんの初エッセイ集です。20年ほど前、チェーン書店にて店長をしていた頃にこの本を知って、店長のおすすめとして並べたところめちゃくちゃ売れました。
翻訳家という職業柄、真面目で堅い性格かと思いきや、作者の岸本佐知子さんはユーモアたっぷりのサバサバした性格で、その本業のイメージとのギャップがツボです。
『都市の兵法-電車編-』という章では、通勤電車内を戦場と見立てて、まわりの“敵”から身を守るための術が書かれています。ぐいぐい押してくる人、酔っ払い、痴漢、背中の熱い人…。そんな著者独自の視点に『わかる〜!』と共感できる話も多くありますが、ちょっと変わった性格が炸裂している章もあります。例えば、目立ちたくて自分で掘った落とし穴にわざと何度も落ちたり、かさぶたをお湯で溶かしたら血に戻るのか実験したり…と、奇想天外な事柄が事細かに書かれているのです。
笑いたい時、元気がない時におすすめです。通勤中に読むと危険なので要注意です」
「COMMUNE」内にある書店。オーナー曰く、いい本とは「いい匂いにつられて、思わず手にしてしまうようなおいしそうな本」なのだとか。店内に並ぶ本は絵本に哲学書、話題の新刊と幅広く、知識豊富で喋ることが大好きなオーナーとの会話を楽しみに訪れるファンも多い。
Text:Ayaka Minoda